コラム

設備改修・更新とは?保有施設の設備改修・更新の判断基準のポイントや事例を紹介

設備改修・更新とは、保有する施設の電気・空調・衛生設備などが、経年劣化や機能低下、社会的ニーズの変化などに対応できなくなった際に、必要な機能の維持・向上や性能回復のために行う工事のことです。

施設の老朽化に伴う故障リスクの増加や光熱費の高騰、環境負荷への対応は、施設オーナーや運営者、管理者にとって重要な課題であり、計画的に設備改修・更新を実施することが、資産価値の維持・向上や運営コストの最適化に繋がります。

この記事では、設備改修・更新工事の基本的な概要や対象となる設備の範囲、設備改修・更新のメリットや検討すべきポイント、実際の設備改修・更新事例などを網羅的に解説します。

保有施設の省エネ・省CO2化、ランニングコスト削減を具体的に進めたい方や、設備改修・更新に関する専門的なコンサルティングをご検討されている方は、「保有施設の設備更新・リニューアル支援(電気・空調・衛生設備)」のサービスページをあわせてご覧ください。

設備改修・更新工事とは?

設備改修・更新工事とは、保有する施設の電気・空調・衛生設備などが、機能低下や故障、社会的ニーズの変化などに対応できなくなった際に、機能を維持・向上させるために行う工事を指します。

主要な設備機器の多くは耐用年数がおよそ20〜30年とされており、建物を60年以上活用するためには、少なくとも1回、多ければ2〜3回の大規模な更新工事が必要になります。こうした計画的な設備更新は、ストックマネジメントの観点からも、今後ますます重要性を増しています。

設備の更新時期は設備機器によってまちまちであり、建物本体の寿命よりも早いです。建物を60年以上活用するためには、少なくとも1回、多ければ2〜3回の大規模な更新工事が必要になります

設備更新を先送りすると、故障や機能停止による業務中断、光熱費の増大、CO₂排出量の増加など、さまざまなリスクを招く恐れがあるため、計画的な設備改修・更新の実施が、施設オーナーや運営者、管理者にとって欠かせない取り組みとなっています。

設備改修・更新工事の対象範囲

設備改修・更新工事の対象となる設備は多岐にわたり、建物の機能維持や安全性、運用効率に大きく影響します。

一般的には、「電気設備」「空調設備」「衛生設備」などに大別されます。以下では、それぞれに含まれる主な設備と、その更新が重要となる理由について解説します。

電気設備受変電設備、非常用発電機、盤類、照明など

電気設備は、建物内で必要な電力を安定的に供給し、建物の機能を継続的に維持するために不可欠な設備群です。受変電設備、非常用発電機、盤類などが代表的な対象となります。そのほか照明なども電気設備に含まれます。

老朽化が進むと、停電・漏電・事故のリスクや、電力ロスによるランニングコスト増加を招きます。電気設備の更新の際は、使用電力量の分析を行い、電気容量や設備の仕様を見直すことで、更新費用を抑え、さらに保守費用の削減や省エネに繋げることができます。

電気設備の改修・更新工事は、施設を運用しながら施工を進める場合も多く、さらに受変電設備や非常用発電機など大型機器は電気室に十分なスペースがないこともあるため、施工の難易度が高くなりがちです。こうした制約の中で工事を行うためには、専門家の知見を得ることが非常に重要になります。

配電盤のイメージ。電気室に十分なスペースがないこともあり、設備改修・更新工事の難易度が高い場合が多いです

空調設備空調機、熱源機器、冷却塔など

空調設備は、室内環境(温度・湿度・換気)の適正化を通じて、利用者の快適性や生産性を確保するために重要な設備です。空調機や熱源機器、冷却塔が主な対象となります。

老朽化した空調設備は省エネ性能の低下を招き、光熱費の増加や快適性の低下に繋がります。空調設備更新の際は、建物状況調査、負荷データの分析、空調システム比較等を実施することで、光熱費の削減や省エネ・省CO2に繋げることができます。

空調設備更新には、将来計画を想定した容量の設定を行い、熱源方式の比較検討をすることなどが重要になります。更新の費用対効果をあげるためには、適切な更新計画の策定が重要です。

冷却塔のイメージ。空調設備更新には、将来計画を想定した容量の設定を行い、熱源方式の比較検討をすることなどが重要になります

衛生設備衛生器具、貯水槽、ポンプなど

衛生設備は、建物内で安全かつ安定的に水を供給し、利用者が衛生的に水を使用できる環境を維持するために不可欠な設備群です。主な対象として、トイレや洗面台などの衛生器具、受水槽・高架水槽といった貯水槽設備、給水・排水を担う各種ポンプ類が挙げられます。

衛生器具は利用者が直接使用する設備であり、快適性や衛生性に直結します。老朽化による使い勝手の低下や不具合に対し、節水型トイレや自動水栓などの最新器具へ更新することで、水使用量の削減と衛生環境の向上が期待できます。

貯水槽やポンプは機械室や屋上など限られたスペースに設置されることが多く、更新時には搬入経路や施工条件への配慮が必要です。さらに、設備容量が利用実態に適していない場合、給水・給湯の供給不足が生じることがあるため、利用状況を踏まえ、容量や仕様を適正に見直したうえで改修・更新を行うことが重要です。

貯水槽のイメージ。給水・給湯の供給不足が生じないように、利用状況を踏まえ、容量や仕様を適正に見直したうえで改修・更新を行うことが重要です

設備改修・更新工事を行う3つのメリット

設備改修・更新工事は、単に老朽化した設備を新しくするためのコストと捉えられがちですが、実際には企業の経営戦略において多くのメリットをもたらす重要な投資です。

設備の機能回復はもちろん、中長期的な視点で企業の資産価値や事業継続性を高める効果が期待できます。ここでは、設備改修・更新がもたらす主な3つのメリットについて解説します。

メリット1ランニングコストの削減

設備改修・更新の最大のメリットの一つは、日々の運用にかかるランニングコストの削減です。

特に10年〜15年以上前の空調設備、照明設備、熱源設備は、最新機器と比べてエネルギー効率が低く、電力・水道などの光熱費が高くなる傾向があります。稼働状況に合わせた設備の容量・台数・仕様の見直しの実施や高効率機器・システムの採用により、水道光熱費の削減につながります。

さらに、設備が新しくなることで故障率が低下し、突発的な修理費用や頻繁なメンテナンスコストの抑制にもつながります。将来の修繕・更新費用を抑制し、結果的にランニングコストを削減できます。

ライフサイクルコストの中でも、ランニングコストはイニシャルコストの5倍以上になることが多いです。設備改修・更新によりライフサイクルコストの削減に繋がります

メリット2省エネ効果・環境負荷の低減

設備改修・更新の重要なメリットの一つが、省エネ効果の向上と環境負荷の低減です。

電力実績データや熱源負荷実績データを分析し、実際の稼働状況に適した設備容量へ適正化することで、更新後は設備を高効率で運転することが可能となり、より高い省エネ効果が期待できます。

環境負荷の低減は、企業の社会的責任(CSR)の履行だけでなく、企業イメージやブランド価値の向上にも寄与します。計画的な設備更新は、企業価値向上やESG対応の具体的な成果としても重要な意味を持ちます。

設備の改修・更新に際し、電化の推進や機器の高効率化、容量の最適化を図ることで、エネルギー消費量およびCO2排出量、水光熱費の削減を実現できます

メリット3ワークプレイス環境(健康・快適性)の向上

設備改修・更新の重要なメリットの一つとして、ワークプレイス環境における健康性・快適性の向上が挙げられます。空調・換気・照明などの設備は、室内環境の質に直接影響し、執務者や利用者の快適性を左右する要素です。

老朽化した設備では、温度・湿度のばらつきや換気量不足、照度の不均一などが生じやすくなりますが、設備更新により室内環境を適切に制御することで、快適性の安定化や健康リスクの低減が期待できます。

こうした環境改善は、作業効率や集中力の維持といった生産性向上に寄与するだけでなく、従業員満足度の向上や人材定着といった側面からも、企業価値を支える重要な要素となります。

設備改修・更新により、ワークプレイス環境の向上に繋げることもできます

設備改修・更新計画の検討ポイント

保有する不動産(CRE)の設備については、どの時点で改修・更新を実施するかが、資産価値や事業継続性に大きく影響します。設備更新の判断には、場当たり的な対応ではなく、計画性と合理的な根拠に基づく判断が求められます。

設備に不具合が発生してから対応する場合、突発的な事業停止や高額な緊急工事費の発生など、運営上のリスクが顕在化しやすくなります。そのため、設備の劣化状況や使用実態を把握したうえで、機能低下や故障が顕在化する前に計画的な改修・更新を行うことが重要です。

この段落では、設備の改修・更新を検討する際に特に重要となる3つのポイントについて解説します。

ポイント1最適な更新範囲の検討

効果的な設備改修・更新工事を行うためには、最適な更新範囲の検討が重要となります。更新範囲を適切に設定することで、設備のダウンサイジングを行うことが可能となり、コスト削減につながります。

最適な更新範囲、更新方式を検討する際は、対象となる施設・設備の特性や状況を考慮した検討を行うことが重要です。安易に更新時期を迎えた設備単位での更新や既存同等での単純更新をしてしまうとイニシャル・ランニングコスト、CO2排出量の削減が図れない可能性があります。

例えば、空調設備の冷却塔・冷凍機は、一般的に冷却塔の方が耐用年数が早いです。このとき、システム全体や受変電設備との関係を考慮せずに冷却塔のみを単純更新すると、将来的に同一システムに縛られてしまい、柔軟な更新や効率改善が難しくなる恐れがあります。設備ごとの個別更新ではなく、設備全体で検討し、最適なシステムにすることが重要になります。

安易に更新時期を迎えた設備単位での更新をしてしまうとイニシャル・ランニングコスト、CO2排出量の削減が図れない可能性があるため、設備全体で最適なシステムを検討することが重要です

ポイント2設備更新容量の適正化検討

効果的な設備改修・更新を行うためには、「設備更新容量の適正化」を検討することが欠かせません。必要以上に大きな設備容量で計画すると、初期投資が増大するだけでなく、運転効率が低下し、結果的にCO₂排出量の削減も難しくなります。

建物竣工時と現在では、運用形態やテナント構成、設備機器の性能、さらには施設利用者の省エネルギー意識など、多くの要素が変化しています。そのため、竣工当時に設定された設備容量が、現在の使用実態に対して過剰となっているケースも少なくありません。こうした変化を踏まえずに従来と同規模の設備を更新すると、無駄なコストとエネルギー消費を抱え込むことになります。

電力使用実績や熱源負荷データなどをもとに、実際の稼働状況を定量的に分析することで、最適な設備容量を算出できます。適正化された容量での更新は、イニシャルコストの抑制に加え、稼働効率の向上によるランニングコスト削減、さらにはCO₂排出量の削減といった多面的な効果をもたらします。

電力使用実績や熱源負荷データの定量的な分析に基づき、最適な設備容量を算出することで、稼働効率の向上とランニングコスト・CO₂排出量の削減に繋がります

ポイント3施設全体のライフサイクルを考慮した投資判断

設備の更新範囲や更新容量、実施時期を検討する際は、個別設備単位の最適化だけでなく、「施設全体のライフサイクル」に基づいて意思決定を行うことが重要です。

例えば、施設のライフサイクルの終盤にあり、数年以内に建替えなどが予定されている場合には、フルスペックの設備更新を実施しても費用対効果が低い可能性があります。その場合は、主要機器のオーバーホールや部分更新など、最低限の機能維持を目的とした延命措置を行う方が合理的です。

設備更新を実施した場合と、実施しなかった場合のライフサイクルコスト比較

設備改修・更新を実現した事例のご紹介

ここまで、設備改修・更新のポイントやメリットについて解説してきました。一方で、大規模施設や稼働中の施設を対象とする場合、工事の進め方や運用への影響、投資効果の現れ方について、具体的なイメージを持ちにくいかもしれません。

ここでは、実際に明豊ファシリティワークスが携わった設備改修・更新のプロジェクトから、具体的な事例をご紹介します。

事例1電気設備改修・更新事例|セレオ八王子北館

株式会社JR中央線コミュニティデザイン様(旧:JR東京西駅ビル開発株式会社様)が運営する大規模商業施設「セレオ八王子北館」の事例です。本プロジェクトは、多くの利用者が行き交う駅ビルにおいて、施設の営業を継続したまま基幹設備の更新を行うという、難易度の高い取り組みでした。

主な課題は、老朽化が進行していた受変電設備の全面更新と、東京都環境確保条例の基準を満たすためのさらなる省エネルギー化の実現でした。そこで、綿密な施工計画のもと、特別高圧受変電設備をはじめ、サブ受変電室、非常用発電機設備、中央監視設備など、施設全体の電力供給と運用を支える基幹設備の更新工事を実施しました。

営業継続という制約条件のもとでも、施設の安全性・信頼性を確保するとともに、環境性能の向上を実現したプロジェクトです。

事例1空調設備改修・更新事例|ルミネ新宿店 ルミネ2

株式会社ルミネ様が運営する商業施設「ルミネ新宿店 ルミネ2」の事例です。本プロジェクトは、竣工後30年を経過し、老朽化した空調設備の更新プロジェクトです。

既存設備は、エネルギー効率の低下に加え、設備設置スペースが大きく、施設運用上の制約となっていましたが、設備容量・設備方式・配置の最適化により、省エネルギー化とスペース創出を実現しました。

明豊ファシリティワークスでは、基本計画から竣工までマネジメントを行い、競争環境構築による仕様 と工事費の適正化、営業を継続しながらの工事完了を支援しました。

まとめ:設備改修・更新を計画的に進め、合理的な施設運営を実現しましょう

設備改修・更新は、建物や設備の機能を維持・向上させ、施設を安定的に運用していくために欠かせない取り組みです。突発的な故障対応に追われるのではなく、計画的に実施することで、コスト・リスク・性能のバランスを取った合理的な設備投資が可能となります。

  • 設備改修・更新工事とは、保有する施設の電気・空調・衛生設備などの機能を維持・向上させるために行う工事
  • 建物を60年以上活用するためには、1〜3回程度の大規模な設備改修・更新工事が必要
  • 設備改修・更新工事を行うことで、ランニングコストの削減、省エネ効果や環境負荷の低減に繋がる
  • 設備改修・更新には場当たり的な対応ではなく、計画性と合理的な根拠に基づく判断が求められる

明豊ファシリティワークスは豊富な設備更新実績をもとに、お客さま側のプロとして専門性を補完し、事業化検討段階からリニューアル工事完了までトータルで支援いたします。設備改修・更新をご検討中の方は、お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください

設備改修・更新工事に関する事例・リンク

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